

“ドーン!ドーン!”
打ち上げ花火のすさまじい音に、ボクは思わずベッドから顔をだした。お釈迦様の誕生を祝う「花祭り」の合図だとマミーが言う。
朝食をとり、小雨になるのを待って、ダディとマミーはその祭りに出かけていった。薬師さまの日はたいてい雨模様だとぼやきながら。
植木市が出るので、ふたりは毎年この日を楽しみにしている。二年前に買った二鉢のクレマティスが成長し、塀一面にピンクの花を咲かせていたのに、なぜか一鉢が枯れてしまったのだ。それで是非とも購入したいと、今年はことさらこの日を待っていた。
お腹の虫がグーグーなきだした。もうそろそろ帰ってきてもよさそうなものだ。
「ピッピー!ただいま〜!遅くなってごめんね。」
「んもう、ホントに遅いよ。」
ダディが大きい袋を抱えている。おいしい甘茶をいただいて、無論、誕生釈迦像にも甘茶をかけてきた、と言ってマミーは撮ってきたスマホ写真をスライドさせて、ボクに見せる。
甘茶は遠慮するけれど、ボクは早くお腹を満たしたいのだ。
「かあさん、かあさん、おなかと背中がくっつくぞ!」
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